労務監査を実施しキャリアアップ助成金申請を支援した事例
相談内容
ある中小企業の人事担当者から、「契約社員を正社員に転換させたいが、キャリアアップ助成金を活用できるか不安」という相談がありました。その理由は、自社の労務管理が法令に準拠しているかどうか自信がなく、特に助成金申請において厳しいコンプライアンスチェックに耐えられるか心配しているとのことでした。
この企業はこれまで法令改正に迅速に対応できていない部分があり、労務管理体制を整える必要性を強く感じていました。
争点
助成金を申請するためには、法令違反のない労務管理が不可欠です。
具体的には、労働条件通知書の内容と実態があっているか、労働時間の適切な管理、未払残業の有無など、多岐にわたるコンプライアンス項目が監査の対象となります。
この企業の場合、就業規則、労働契約書が最新の法令に即していない可能性や、労働時間管理、給与計算の不備などが指摘される可能性がありました。そのため、まずは労務管理体制の総合的な監査が必要でした。
解決内容
まず、労務監査を実施し、契約書の内容、労働時間の記録、就業規則の適法性、未払い残業の有無など、あらゆる項目を確認しました。
その結果、いくつかの法令違反が見つかりました。具体的には、労働時間を適切に記録する仕組みを導入すること、残業代の集計・計算を法律に違反しないで適切に行うこと。こうした対策を講じることで、キャリアアップ助成金の申請に必要なコンプライアンス体制をクリアにしていきました。
社労士所感
今回の事例では、企業が助成金を活用するための条件として、まず法令遵守の徹底が不可欠であることを改めて感じました。
労務管理の不備は、助成金申請の妨げになるだけでなく、将来的な労働トラブルの原因にもなります。助成金の有効活用を考える際には、まず現状の労務管理の見直しを行い、適切な労働環境を整えることが最も重要です。
雇用形態、労働時間制度、賃金制度が複雑であるほど管理が難しくなり、柔軟な働き方を模索しつつ管理が煩雑にならないよう両立することの大変さを実感した事例でした。