2024年改正雇用保険法のポイント解説!2025年施行に向けて押さえておくべきこと
皆さんこんにちは。千葉の社労士、社会保険労務士法人アットロウムです。
2024年の雇用保険法改正は、雇用保険制度の持続可能性を高め、労働市場の変化に対応することを目的とした重要な改正です。特に、リスキリングへの支援強化や育児休業給付の拡充は、働く個人にとって大きな影響があります。
本コラムでは、2024年改正のポイントをわかりやすく解説し、2025年の施行に向けて企業や個人が準備すべきことをお伝えします。
2025年法改正のポイント
>>厚生労働省「令和6年雇用保険制度の改正内容について(雇用保険法等の一部を改正する法律)」より
1.雇用保険の適用拡大
雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象が拡大されます。
2.教育訓練やリ・スキリング支援の充実
① 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようになります。
② 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げられます。
③ 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金が創設されます。
3.育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保
① 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置が廃止されます。
② 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%) 、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようになります。
4.その他雇用保険制度の見直し
教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等が実施されます。
施行に向けての準備
2025年の雇用保険法改正の施行に向けて、企業と個人はそれぞれ適切な準備を進める必要があります。以下では、それぞれの立場における具体的な対応ポイントを詳しく解説します。
就業規則の確認・変更
改正内容を反映した就業規則の整備は必須です。特に、育児休業や教育訓練休暇に関する規定は、改正後の制度に対応できるように見直す必要があります。
例えば、育児休業給付の拡充に伴い、育児休業期間や給付率に関する規定を見直す必要があります。
また、リスキリング支援制度の活用を促進するため、教育訓練休暇に関する規定を明確化し、従業員が利用しやすい環境を整えることも重要です。
従業員への周知
改正内容について、従業員にわかりやすく丁寧に説明することが重要です。
説明会の実施、社内報やイントラネットでの情報発信、個別の相談窓口の設置など、多様な手段を活用して周知を徹底しましょう。
特に、育児休業給付の拡充やリスキリング支援制度の強化など、従業員にとってメリットのある改正点は積極的にアピールすることが大切です。
制度運用の準備
改正後の制度を円滑に運用するため、必要な手続きや書類の準備、担当者の選任など、具体的な準備を進める必要があります。
例えば、育児休業給付の申請手続きや教育訓練給付金の支給手続きなど、改正に伴い変更となる手続きについて、事前に確認し、必要な準備を進めておくことが重要です。
また、従業員からの問い合わせに対応できるよう、担当者への研修やマニュアル作成なども必要に応じて実施しましょう。
相談窓口の設置
従業員からの疑問や相談に対応するため、専用の相談窓口を設置することが望ましいです。
人事部門や総務部門などが窓口となり、改正内容に関する質問や個別の相談に対応できるように体制を整えましょう。
まとめ
2024年改正雇用保険法は、働く個人にとって重要な変更点が多く含まれています。企業や個人は、改正内容を正しく理解し、必要な準備を進めることが大切です。本コラムが、皆様の理解の一助となれば幸いです。
当事務所では、雇用保険法改正に関するご相談を承っております。就業規則の見直しや従業員への説明など、お気軽にご相談ください。