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台風による労務管理 ~遅刻・早退・欠勤編~

2025.08.01 コラム就業規則

台風が接近・上陸しやすい夏から秋にかけて、企業には従業員の安全確保と事業継続を両立させる対応が求められます

この機会に、従業員の安全を守りつつ、適切な労務管理を行うためにポイントを押さえておきましょう!

1. 遅刻・欠勤(労働者都合で出勤できなかった場合)

  • 欠勤・遅刻時間分は控除(支給なし)が原則

 ・労働者が労務を提供していない時間について賃金支払義務はありません(ノーワーク・ノーペイの原則)

  • 実務対応

 ・欠勤・遅刻時間分は賃金控除するのが原則、但し、公共交通機関の遅延証明があれば〇時間までは控除しないなど、臨機応変な対応もあり

・有給休暇の利用を労働者が希望すれば有給使用を認める

・台風は不可抗力の自然災害「出勤しろ」と強要するのはリスク大(安全配慮義務違反の恐れ)

2. 会社の判断・裁量で休業させた場合

・根拠:労基法第26条「休業手当」の支給が必要

・内容:使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の60%以上を支払う必要がある。

・完全に不可抗力で事業の継続が不可能な場合(停電・冠水で操業不能など)は「使用者の責めに帰すべき事由」に当たらず休業手当不要。ただし「安全配慮のために自社判断で休業」とした場合は、休業手当が必要

3. 早退した場合

本人希望による早退

・ノーワーク・ノーペイの原則により、その時間分は控除(または有休利用可)

会社指示による早退

・使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当する可能性が高く、休業手当(平均賃金の60%以上)が必要

4. 実務上の適切な対処方法

  1. 就業規則等にルールを定めているか確認する

・「台風・大雪等の自然災害時の取扱い」「遅刻欠勤の賃金控除」「会社都合の休業時の賃金」」など安全配慮を優先

・「無理に出勤しないよう指示」することで、事故・ケガや安全配慮義務違反リスクを回避

  1. 労働者とのコミュニケーションをしっかりとる

・欠勤・早退は原則控除だが、従業員の生活への影響を考慮し、有休利用や一部特別有給扱いとする。法定有給の取得奨励企。法的義務がないからといった一方的な対応は、労使関係に亀裂が入ることも・・・💦

  1. 事前ルールの周知

台風接近時は「前日までに出勤可否を決定」「連絡方法を統一」など、混乱防止のためマニュアル化が有効 「災害時マニュアル(BCP)※参考:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」

まとめ(給与支払いの整理)

  • 労働者都合の遅刻・欠勤 → 控除(有休利用は可)
  • 会社都合の休業・早退 → 原則「休業手当」60%以上必要
  • 不可抗力で操業不可 → 休業手当不要

 

📌本情報は下記厚生労働省の情報等を参考にしています📌

【厚生労働省】台風発生時の労働基準法・労働契約法に関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/content/000562940.pdf

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執筆者情報
社会保険労務士法人アットロウム 代表社員 藤崎 祐也
保有資格特定社会保険労務士
一言当事務所は2014年に栗田社会保険労務士事務所という個人事務所から社会保険労務士法人アットロウムへと法人化しました。創業から30年を超えても一貫して「労使紛争の予防対応・人事労務の手続きサポート」を主軸に取り組んできました。 近年では、「デジタルツールを利用した業務改善・生産性向上」「労務監査で人事労務リスクを抽出改善し事業承継・企業価値の向上サポート」に注力しています。 「人事労務を通じて持続可能な企業づくりと地域の発展を支援する」ことを弊所の役割と捉え、何が出来るか日々探求し、実践行動しています。
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