2025年6月より「熱中症対策」が義務化されました【社労士が解説】
- 2025.06.09 コラム
~労働安全衛生規則の改正に伴う対応について~
最高気温が25℃以上となる夏日が見られる今日この頃、企業の安全配慮義務を怠らないためにも対応は必須です!
2025年6月1日施行の労働安全衛生規則改正により、事業者に対して熱中症対策が義務化され、「報告体制の整備」と「措置内容・実施手順周知」が必要になります。
これまでは努力義務にとどまっていた熱中症対策が、今後は法令に基づく義務となり、未実施の場合は行政指導の対象となる可能性があります。
とくに、屋外作業や高温多湿な環境下での業務を行う業種においては、十分な準備が求められます。
弊所への熱中症による労災事故のご相談は、屋外作業で気を失い重度の障害を負ってしまったケースなど、毎年大小さまざまなご相談をいただいています。かくゆう私、藤﨑も熱中症で緊急搬送され労災を使用した経験があります・・・。
安全配慮を怠った労災事故は、企業に数千万円以上の支払いを命じた民事裁判例がいくつもあります。
義務化のポイント
以下の措置が事業者に義務付けられます。
1 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う
①「熱中症の自覚症状がある作業者」
②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う
① 作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
※ WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
建設業、運輸業、製造業、倉庫業など、熱中症リスクの高い業務を含む事業所は、特に重点的な対応が必要です。
取り組む内容
・現状の作業環境・リスク評価の見直し
・熱中症対策マニュアルや教育資料の整備
・安全衛生委員会での方針共有・継続的な議論
・空調・冷却機器・休憩所などの設備面の検討
義務化にあたっては、「どのような作業が対象か」「どのような措置が必要か」といった具体的な判断が求められる場面が増えてきます。
厚生労働省よりパンフレットやリーフレットが公開されていますので、どのような対応が必要なのかチェックし、準備を進めていただければと思います。
また、厚生労働省のポータルサイト「職場における熱中症予防情報」では、動画コンテンツや事業主、安全・衛生管理担当者、現場作業者向けの資料などが公開されていますので、熱中症対策を行う際にぜひご活用ください。
👉「職場における熱中症対策の強化について」パンフレット
👉「職場における熱中症対策の強化について」リーフレット
👉ポータルサイト「職場における熱中症予防情報」
👉「動画で学ぶ職場における熱中症予防対策」
