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【社労士解説】年収の壁・支援強化パッケージを分かりやすく解説します!

2024.04.03 コラム社会保険

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千葉県を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人アットロウムです。

令和5年9月、政府からいわゆる「年収の壁」に対する支援策が発表されました。
今回はその内容と、会社としてできる対応について解説します。

1.年収の壁とは

一般的に「年収の壁」と呼ばれるものには、住民税の「100万円の壁」、所得税の「103万円の壁」、社会保険加入の「106万円の壁」、健康保険の扶養(国民年金の3号被保険者)を外れる「130万円の壁」などがあります。
今回関係あるのは、そのうち「106万円の壁」と「130万円の壁」です。

106万円の壁

勤務先で社会保険に加入する基準の1つである「月88,000円以上(残業代、通勤手当等除く)」の収入を年収換算していわれるものです。
労働時間等の他の条件も満たせば、社会保険に加入する必要があります。
※2022年10月から従業員101人以上の勤め先で働くパート・アルバイトの方は社会保険の加入対象。2024年10月からは、従業員数が51名以上の企業も対象になります。

130万円の壁

健康保険の扶養(及び、20歳以上60歳未満の配偶者については、国民年金3号被保険者)から外れる必要がある年間収入を指していわれるものです。
見込み年間収入が130万円以上になったら、扶養を外れて自分で勤務先の社会保険や国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。

社会保険料負担により手取り収入が減ってしまうことを避けるため、この壁を超えないよう「働き控え」をする人が多いという状況があります。
会社にとっても、最低賃金が上がる一方で収入の壁は変わらず存在しているため、結果としてパートタイマーの労働時間が減り、人手不足に悩まされるという面がありました。

 

2. 政府の施策と会社の対応について

こうした状況に対して打ち出されたのが「年収の壁支援強化パッケージ」です。

年収の壁・支援強化パッケージ|厚生労働省

(厚生労働省HP年収の壁・支援強化パッケージ|厚生労働省より)

「130万円の壁」対応

配偶者の扶養に入っているパートタイマーの場合、配偶者が加入している健康保険組合等から、収入の照会をされることがあります。その際に、パートタイマーの勤務先が、収入の増加が一時的である旨を証明すれば、130万円を超えてしまっても、連続2回までであれば被扶養者でいつづけられることになりました。
会社にとっては、年収130万円未満に抑えるために繁忙期に出勤してもらえない、という事態を減らすことが期待できます。
パートタイマー労働者がいる会社では、その証明を求められる可能性があります。厚生労働省が、事業主の証明書として書式を公開していますので、従業員から求められた場合、この書式を使って証明しましょう。
なお、厚生労働省のQ&Aによれば、一時的な収入変動にあたる主なケースは以下の通りです。

・当該事業所の他の従業員が休職・退職したことにより、当該労働者の業務量が増加したケース
・当該事業所における業務の受注が好調だったことにより、当該事業所全体の業務量が増加したケース
・突発的な大口案件により、当該事業所全体の業務量が増加したケース
などが想定されます。 一方で、基本給が上がった場合や恒常的な手当が新設された場合、労働契約における所定労働時間・日数が増加した場合など、今後も引き続き収入が増えることが 確実な場合においては、一時的な収入増加とは認められません。
(事業主の証明による被扶養者認定Q&A A1-8より)

なお、この制度は国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済の被扶養者についても同様の取扱いとなります。

「106万円の壁」対応

令和5年10月20日からキャリアアップ助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」が追加されました。

年収の壁・支援強化パッケージ|厚生労働省

(厚生労働省HP年収の壁・支援強化パッケージ|厚生労働省  キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)のご案内(リーフレット)より)

大まかに言うと、社会保険加入によって減ってしまう手取り分を補填する取り組みに対して、助成金を支給するという趣旨です。最大で労働者1人につき50万円が助成されます。
パートタイマー従業員が多い会社では、「年収の壁・支援強化パッケージ」を駆使することで、会社側の負担をなるべく抑えつつ、人手不足解消・従業員のキャリアアップにつなげていくことが期待されます。

 

3. まとめ

今回の制度は、人手不足の解消・壁を意識せず働くことのできる環境づくりという目的とともに、保険料負担のない就労者を減らし、社会保険に加入させるという狙いもあると考えられます。
政府としては、今回の対応は年収の壁に対する当面の対応であり、今後の年金制度改正に向けて議論を開始しているとのことです。
よって、今後も制度の改正や助成策などが出てくることが予想されます。パートタイマー労働者を多く抱える会社以外でも関係してくる可能性がありますので、引き続き、政府の情報発信に注目していきましょう。

社会保険労務士法人アットロウムでは、社会保険のスペシャリストとして各種相談を受け付けております。

初回相談は無料ですのでお気軽にご相談下さい。

 

 

 

 

 
執筆者情報
スタッフA
専門分野社会保険・労働保険手続き業務
一言社会保険労務士試験合格者。通常は手続き業務や給与計算業務をメインに担当しております。
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